滋賀県大津市の司法書士 大津法務コンサルティングへ寄せられたご質問を紹介いたします。

目次
  1. よくあるご質問
  2. 相続のこと
      1. 1、相続人は、どのようにして決まるのですか?
      2. 2、相続できる分は、相続人全員とも同じですか?
      3. 3、遺産分割協議とは、何ですか?
      4. 4、遺産分割の話し合いが成立しない場合、どうしたらよいですか?
      5. 5、代襲相続とは、何ですか?
      6. 6、相続人の欠格事由とは、何ですか?
      7. 7、相続人の廃除とは、何ですか?
      8. 8、相続の遺留分とは何ですか?
      9. 9、相続の寄与分とは何ですか?
      10. 10、相続の特別受益とは何ですか?
      11. 11、相続回復請求権とは何ですか?
      12. 12、遺言書が見つかったら、絶対に、その内容どおりに遺産相続しないといけないのですか?
  3. 相続登記のこと
      1. 1、相続登記とは、何ですか?
      2. 2、相続登記は、いつまでに、しなければならないのですか?
      3. 3、相続登記をしないで、放っておくとどうなりますか?
      4. 4、望ましい相続登記の内容は、ありますか?
      5. 5、相続登記に必要な書類には、何がありますか?
      6. 6、相続登記は、どのぐらいの期間でできますか?
      7. 7、遠方ですが、相続登記をお願いすることはできますか?
  4. 相続放棄のこと
      1. 1、相続の放棄とは、何ですか?
      2. 2、3ヶ月経つと、相続放棄は、できないのでしょうか?
      3. 3、相続放棄ができない人は、いますか?
      4. 4、3ヶ月間では短すぎて、相続するか、放棄するかを決められません
      5. 5、相続放棄は、被相続人が亡くなる前でも、できますか?
      6. 6、相続放棄をすると、自分の子どもが相続することになるのですか?
      7. 7、相続放棄をすると、税金や健康保険料も払わなくて済むのですか?
      8. 8、相続放棄をすると、お墓の管理はどうしたらよいのでしょうか?
      9. 9、未成年者や成年被後見人が相続放棄をする場合、3か月以内という制限はどうなるのでしょうか?
      10. 10、相続放棄を撤回することはできますか?

よくあるご質問

相続のこと

1、相続人は、どのようにして決まるのですか?

民法で、人が亡くなると、誰が相続人となるかが決められています。

以下の順番で相続人となります。
1、配偶者と子ども
2、配偶者と直系尊属
3、配偶者と兄弟姉妹

1、配偶者(妻、夫のこと)
配偶者は、必ず相続人となります。
戸籍上の夫婦でなければなりませんので、内縁の妻や愛人は相続人とはなりません

2、子ども
子どもがいれば、配偶者と子どもが相続人となります。
子どもには、養子や認知した子も含みます。
ただし、結婚相手に子どもがいた場合(連れ子)、養子縁組をしなければ、その子どもは、相続人とはなりません。

3、直系尊属(父母、祖父母、曽祖父母)
子どもがいなければ、配偶者と父母が相続人となります。
父母が先に亡くなっていたら、配偶者と祖父母が相続人となります。
祖父母も先に亡くなっていたら、配偶者と曽祖父母が相続人となります。
亡くなられた方の直系尊属ですので、配偶者の直系尊属は相続人とはなりません。

4、兄弟姉妹
子どもがおらず、直系尊属も全員先に亡くなっていた場合は、配偶者と兄弟姉妹が相続人となります。
亡くなられた方の兄弟姉妹ですので、配偶者の兄弟姉妹は相続人とはなりません。

さらに、具体的なケースを見てみましょう。

ケース1:未婚の方が亡くなられた
親が相続人となります。
親が先に亡くなっていたら、兄弟姉妹が相続人となります。

ケース2:離婚し、再婚していない方が亡くなられた
子どもが相続人となります。(離婚前の配偶者は相続人にはなりません
子どもがいなければ、親が相続人となります。
親が先に亡くなっていたら、兄弟姉妹が相続人となります。

ケース3:子どもが、故人より先に亡くなっていた
子どもの、子どもが相続人になります(→代襲相続といいます)。

ケース4:亡くなった時に、妻のお腹に胎児がいた
胎児も相続人となります。
(死産だった場合は、相続人とはなりません。)

ケース5:兄弟姉妹が先に亡くなっていた
兄弟姉妹が相続人となる場合ですが、兄弟姉妹の、子どもが相続人になります(→代襲相続といいます)。

2、相続できる分は、相続人全員とも同じですか?

遺言によって、特定の相続人に全財産を相続させることもできます。

遺言書がない場合は、民法で決められた割合で相続するか、相続人全員で協議して、相続割合や具体的に相続するものを決めることができます。

民法で定められた相続の割合とは?

以下のどれに該当するかで、相続できる割合は異なります。
1、配偶者と子ども
2、配偶者と直系尊属
3、配偶者と兄弟姉妹

1、配偶者と子ども の場合
たとえば、故人に配偶者と子ども2人(長男、長女)がいる場合は、配偶者が2分の1、長男が4分の1、長女が4分の1を相続することになります。

平成25年12月の民法改正により、現在は、嫡出子(結婚している夫婦間の子ども)と婚外子(結婚していない夫婦間の子ども)の相続分は同じとなりました。

2、配偶者と直系尊属 の場合
相続分は、配偶者が3分の2、父に6分の1、母に6分の1となります。
配偶者は、子どもがいないときに比べて、より多く相続できるようになっています。

3、配偶者と兄弟姉妹 の場合
たとえば、故人に配偶者と兄、妹がいる場合は、配偶者が4分の3、兄が8分の1、妹が8分の1を相続することができます。
兄弟姉妹の相続分は、最も少なく規定されています。

3、遺産分割協議とは、何ですか?

相続人全員で、誰が、どの遺産を相続するのかを話し合うことをいいます。

話し合いの結果を元に、「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員の実印を押し、印鑑証明書をつけ、協議が間違いなく成立した証明とします。

相続人が1人でも欠けていたら、遺産分割協議は無効になってしまいます。

相続人全員を特定するには、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を確認する必要があります。

相続人を特定できたら、遺産を調べ、不動産や預貯金などのプラスの財産と、借金や滞納している税金などのマイナスの財産がないかを明確にしてから、誰が、どの財産を相続するか話し合いをします。

もし、相続人に認知症になってしまわれた方がいたら、成年後見人をつけ、遺産分割協議内容についても、裁判所の許可を得る必要があります。

また、相続人に未成年者がいたら、未成年者は単独では、遺産分割協議をすることはできませんので、親権者か、裁判所から選任された特別代理人にも参加してもらう必要があります。

さらに、故人の妻のお腹に子どもがいる場合は、死産でない限り、胎児も相続人となるため、出産まで、協議は待った方がよいでしょう。

4、遺産分割の話し合いが成立しない場合、どうしたらよいですか?

遺産分割協議が、まとまらないときは、家庭裁判所に、遺産分割調停の申し立てをすることができます。

調停では、調停委員が、相続人の意見を聞きながら、相続人の職業や年齢、亡くなられた方への貢献度などを総合的に判断して、遺産分割の内容を、相続人が合意できるように調整してくれます。

調停でも全員の同意が得られないときは、遺産分割審判手続きになります。

審判では、裁判所が、遺産分割の内容について審判を下しますので、相続人は、納得できなかったとしても、この決定に従わなければなりません。

5、代襲相続とは、何ですか?

相続人の子どもが、代わりに相続人となることです。

代襲相続となるのは、以下の3つの場合です。
1、相続人が、故人より先に亡くなっていた場合。
(交通事故などで一緒に亡くなった場合も含む)
2、相続人が、相続人としての欠格事由に該当していた
3、相続人が、故人から廃除された

代襲相続となる相続人は
1、子ども
2、兄弟姉妹
(配偶者や直系尊属は、代襲相続となりません)

1、子ども
相続人の子どもが先に亡くなっていた場合は、孫が相続します。
孫も先に亡くなっていた場合、ひ孫が相続します。

2、兄弟姉妹
相続人の兄弟姉妹が先に亡くなっていた場合、兄弟姉妹の子どもが相続します。
(故人にとっての甥(おい)や姪(めい)のことです)
ただし、上記1の子どもの場合とは異なり、甥や姪も先に亡くなっていた場合は、その子どもには代襲相続されません。

6、相続人の欠格事由とは、何ですか?

相続人として、ふさわしくないことをしたため、遺産相続できなくなる事由のことです。

1、故人を殺した(未遂を含む)

2、自分より先順位や、同順位となる相続人を殺した(未遂を含む)
(たとえば、故人の次男が長男を殺そうとした場合など)

3、故人が殺されたのを知りながら、告発・告訴しなかった

4、故人を強迫したり、騙すことによって、遺言をさせたり、遺言を撤回させた、または、それを邪魔した

5、故人の遺言書を偽造したり、破り捨てたり、隠したりした

上記に該当する人は、裁判所等での手続きをしなくても、当然に、相続人でなくなります。

子どもや兄弟姉妹が上記に該当した場合は、代襲相続となります。

7、相続人の廃除とは、何ですか?

故人の意思で、相続人から外す制度です。

廃除できる場合
1、被相続人に虐待をした
2、被相続人に重大な侮辱を加えた
3、相続人に著しい非行があった

廃除の対象者
1、配偶者
2、子ども
3、直系尊属(父母、祖父母など)
兄弟姉妹は、遺留分を有しないので、遺言で相続させないことができるため、廃除の対象ではありません。
廃除されたのが、子どもの場合のみ、代襲相続となります。

廃除の手続き
家庭裁判所に、申し立てをします。
遺言でも、廃除の意思表示をすることができ、この場合は、遺言執行者が、家庭裁判所に申し立てをします。
廃除が決まると、戸籍に、廃除された旨の記載が入ります。

8、相続の遺留分とは何ですか?

相続人に認められた、最低限度の相続分のことです。

民法によって、相続人の相続分は、定められていますが、故人は、遺言によって、相続人ごとに、相続分を指定することができます。

たとえば、相続人が、子どもAと、子どもB のケースで、
遺言で、「Aにすべての財産を相続させる」と記載していても、Bには遺留分があるので、この場合には、全財産のうち、4分の1は、自分のものであるとBは主張できます。

遺留分を主張できる人
1、配偶者
2、子
3、直系尊属
兄弟姉妹には、遺留分はありません。

遺留分の割合
1、直系尊属のみが相続人の場合は、相続財産の3分の1
2、その他の場合は、相続財産の2分の1

各相続人の遺留分は、
全体の遺留分の割合 × 法定相続割合
で算出できます。

具体的な遺留分を見てみましょう

1、相続人が配偶者のみ
相続財産の2分の1

2、相続人が配偶者と子ども1人
それぞれ、相続財産の4分の1ずつ

3、相続人が配偶者と両親
配偶者は、相続財産の3分の1
父母はそれぞれ、相続財産の12分の1ずつ

4、相続人が配偶者と兄弟姉妹
配偶者は、相続財産の2分の1
兄弟姉妹には、なし

5、相続人が両親のみ
父母はそれぞれ、相続財産の6分の1ずつ

遺留分を計算する際の相続財産
故人の死亡時の財産 + 贈与(※) + 特別受益 ー 故人の債務

※贈与は、以下の3つに該当するものを加算します。
1、死亡1年以内のもの
2、死亡1年以上前の贈与でも、当事者双方が遺留分を侵害することを知ってなされた贈与
3、当事者双方が遺留分を害することを知ってなされた、みなし贈与(不相当な対価による売買等の有償行為)

遺留分を取り戻す手続き
遺留分を取り戻す手続きのことを遺留分減殺請求といいます。
この手続きには、時効があり、遺留分を侵害されていることを知ってから1年、故人が亡くなってから10年以内に請求しなければなりません。

9、相続の寄与分とは何ですか?

相続人が、故人の生前に、故人の財産の維持、増大に貢献した場合に、他の相続人よりも、遺産を多くもらうことができる制度です。

以下のような場合には、認められる場合があります。
1、故人の事業を手伝っていた
2、故人の代わりにお金を出していた
3、故人の療養看護をしていた

寄与分を認めてもらうには、以下の2つの方法があります。
1、相続人の間で話し合い、他の相続人全員に認めてもらう。
2、裁判所で認定してもらう。

裁判所で、認定してもらうのは、非常に難しいといえるでしょう。
実際に、ご自身が、いつ、どのように特別に寄与(貢献)して、それによって、どれぐらいの額の財産上の効果があったかを証明しなければならないからです。

10、相続の特別受益とは何ですか?

相続する方が、亡くなられた方から、生前に、贈与を受けていた場合、それを遺産の前払いとみなし、相続財産に加算しなければならないことです。

遺言によって、相続財産に加算しないでよい、とすることもできます。

11、相続回復請求権とは何ですか?

相続回復請求権とは、相続人でない者が、相続財産を占有・侵害している場合に、相続財産を相続人に回復させる民法に定められた救済制度です。
相続財産回復請求権は、他に相続人がいても、相続人1人だけでも行使できる権利です。

相続回復請求権には、消滅時効があります。
相続人が、相続権を侵害されていることを知ったときから5年で消滅します。
侵害されていることを知らなかったとしても、被相続人が死亡してから20年で消滅します。

12、遺言書が見つかったら、絶対に、その内容どおりに遺産相続しないといけないのですか?

相続人「全員」が合意すれば、遺言書と異なる内容で、遺産相続することもできます。その場合は、遺産分割協議書を作成する必要があります。

相続登記のこと


1、相続登記とは、何ですか?

相続登記とは、亡くなられた方の所有していた不動産(土地や建物、マンションのこと)の名義を、相続人に変更することです。

法務局という役所には、不動産ごとに「登記簿」というものが置かれています。登記簿には、その不動産に関する情報(面積、所有者、住宅ローンなどの担保がついていないかなど)が記載されています。

その登記簿の所有者を変更することが、相続登記です。

不動産を取得した場合、登記を自分名義にしておかないと、その不動産が自分のものであることを証明することができません。

相続されたら、お早めに相続登記を済ませておくことをお勧めしています。


2、相続登記は、いつまでに、しなければならないのですか?

法律で定められた期限はありません。

しかしながら、以下の「相続登記をしないで、放っておくとどうなりますか?」でご説明するように、相続登記をせずに放置しておくと、将来困ることになる場合がありますので、できるだけ早く、手続きされることをお勧めしています。

目安としては、相続税の申告期限である、相続発生から10ヶ月以内に、相続登記が完了しているのが、望ましいといえるでしょう。

3、相続登記をしないで、放っておくとどうなりますか?

もし、相続登記をしないで放っておくとどうなるか、いくつかのケースを考えてみましょう。

ケース1 相続してから5年後に、相続した土地を売ることになった

この場合でも、必ず相続登記をしなければなりません。買主は、登記簿上の所有者とでなければ、売買契約をしないからです。

「では、売ることになった時に、相続登記をすればよいのでは?」と思われるかもしれません。しかし、5年後に相続登記をしようと思ったら、相続人のうちの1人が亡くなってしまっていたり、認知症になってしまっている可能性もあります。

もし、相続人のうちの1人が亡くなっていた場合は、その方の配偶者や子どもを、相続人の相続人(立場を承継した人)として、遺産分割協議書に実印を押印してもらわなければなりません。相続人の相続人ですと、縁遠く、なかなか連絡がとれないということもよくありますし、法律で定められた相続分を主張され、現金で数百万円支払わなければ、協議が成立しないということもあり得ます。

また、認知症になってしまっていた場合は、裁判所に成年後見の申立てをし、遺産分割協議の内容について、原則、裁判所の許可をもらわなければなりません。

このように、早めに相続登記をしていれば起きなかったことに、頭を悩まされることになる可能性があるのです。

ケース2 相続人の一人に借金や税金の滞納があった

貸主や市役所が、債権者として、勝手に、相続人全員の共有として相続登記をし、その上で、借金のある相続人の持分を差押えする場合があります。

そうなると、まず、借金の返済をして、貸主等に差押登記を抹消するのに必要な書類を用意してもらって、抹消登記をして、遺産分割協議をして、相続した人に名義を入れる・・・と非常に複雑な手続きが必要になります。

ケース3 遺産分割内容に不満のある相続人の一人が勝手に、法定相続登記を入れてしまった

法定相続登記により、相続人全員の共有名義となっていますので、真実の相続人名義に変更するには、再度、話し合いで、遺産分割協議をまとめるか、もしくは、裁判所での手続き(調停、審判)が必要になります。

ケース4 遺産分割協議書だけ作っておいた

登記をするのはお金がかかるから、必要になったときに登記すればよいし、遺産分割協議書だけ作っておけばよいのでは?と思われるかもしれません。

しかし、遺産分割協議をした相続人の1人が亡くなってしまうと、いざ、相続登記をする際の書類には、亡くなった方自身の相続人に署名してもらう必要があります。なかなか連絡がつかなかったり、手続きに協力してくれないなど、すぐに相続登記をしていれば起きなかったことに、頭を悩まされることになる可能性があるのです。

以上のように、相続登記をしないで放置おくと、手続きが複雑になり、時間とお金が余計にかかることが多いです。

先々のリスクを避けるためにも、お早めに相続登記をすることをお勧めします。

4、望ましい相続登記の内容は、ありますか?

不動産は、共有にしないこと。
また、土地と、その上にある建物の名義も同じにすることをお勧めしています。

共有にしていたり、土地とその上の建物の所有者が違うと、いざ、家を売却したいと思ったときや、建物を建替えようとするときに、関係者が多いために、合意するのに、時間とお金が余計にかかることが多いからです。

5、相続登記に必要な書類には、何がありますか?

遺産分割協議が成立していれば、、以下の書類で相続登記ができます。
遺言書がある場合や、相続人さまの状況により、追加の手続きや書類が必要な場合もあります。
詳しくは、お問い合わせください。

  1. 亡くなられた方の戸籍の附票(または、住民票の除票)
  2. 亡くなられた方の出生から死亡までの、すべての戸籍、除籍、改製原戸籍
  3. 相続人全員の戸籍
  4. 相続関係説明図
  5. 遺産分割協議書
  6. 相続人全員の印鑑証明書
  7. 住民票(不動産を相続する方のみ)
  8. 不動産の固定資産評価証明書(または、納税通知書)

6、相続登記は、どのぐらいの期間でできますか?

亡くなられた方の戸籍収集や、遺産分割協議書にご捺印いただく期間にもよりますが、平均3週間~4週間が、ご依頼から、権利証のお渡しまでにかかる期間です。

7、遠方ですが、相続登記をお願いすることはできますか?

はい、可能です。郵便や、お電話でやり取りすることにより、ご依頼をお受けすることも出来ますので、お気軽にお問い合わせください。

相続放棄のこと


1、相続の放棄とは、何ですか?

はじめから、相続人でなかったことにできる手続きです。

亡くなられた方に借金があると、相続人に対し、支払いの請求がきます。借金の額が多く、とても返済しきれないといった場合に、相続放棄は利用されます。

ただし、相続放棄ができる期間は短く、故人が亡くなってから、3か月以内に裁判所に申請しなければなりません。

この3ヶ月という期間は、事前に申し出をすれば、伸ばすこともできます。

相続放棄をすると、後日、財産が出てきたとしても、撤回することはできませんので、慎重に考えることをお勧めしています。

3ヶ月を経過していなくても、故人名義の預貯金を勝手に引き出し、使い込んだ場合も、相続放棄はできなくなります。相続したからこそ、使ったのでしょうと裁判所は判断し、借金だけ都合よく放棄はできませんよ、となるわけです。

相続放棄をすると、相続人でなくなるので、借金などの債務だけでなく、土地や建物、預貯金などの財産も相続できません

死亡保険金(契約者・被保険者が故人、受取人が相続放棄した方の場合)は、遺産ではなく、受取人固有の財産であるため、受け取ることができます。ただし、この死亡保険金は、相続税の対象となります。(相続税の基礎控除は適用されますが、生命保険金の非課税枠の適用はありません)

相続放棄をすると、次順位の人に相続する権利が移ることになります。

たとえば、故人の子どもが相続放棄をした場合は、故人の親が相続人となり、親もすでに亡くなっていた場合は、故人の兄弟が相続人となります。

2、3ヶ月経つと、相続放棄は、できないのでしょうか?

「3ヶ月以内に相続放棄をしなかったのが、相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、このように信ずるについて相当な理由がある場合」には認められる可能性があります。(最高裁昭和59.4.27判決)

たとえば、故人と別居していて、ほとんど交流がなかった場合には、
請求書が送られてきて、初めて、借金があることを知ることもあるでしょう。
この場合には、請求書が届いてから、3ヶ月以内であれば、相続放棄ができる可能性があります。(東京高裁昭和63.1.25判決)

もし、家庭裁判所で却下された場合でも、2週間以内に、即時抗告することによって、今度は、高等裁判所で審理してもらうことができます。

3、相続放棄ができない人は、いますか?

はい。
未成年者や、認知症になってしまわれた方は、相続放棄ができません。

未成年者の場合は、親御さんなど、親権者の方が代わりに手続きをしなければなりません。
認知症になってしまわれた方については、成年後見人が代わりに手続きをすることになります。

4、3ヶ月間では短すぎて、相続するか、放棄するかを決められません

相続放棄の申立てができる期間である、3ヶ月のことを「熟慮期間」と言います。
この熟慮期間は、裁判所に申請することによって、延長することができます。

熟慮期間を伸ばす申請書には、以下の2点を記載する必要があります。
1、なぜ、期間を伸ばす必要があるのか
2、いつまで、延長して欲しいのか

相続財産の調査のため等、3ヶ月では足りない場合には、ひとまず、熟慮期間の延長手続きをし、その後、相続するか、放棄をするかを決定することができます。ただし、この手続きについても、3ヶ月以内にしなければなりませんので、ご注意ください。

5、相続放棄は、被相続人が亡くなる前でも、できますか?

いいえ。相続放棄は、相続が開始してからでなければ、できません。

現実に、亡くなられたときに、誰が相続人であるかが確定するからであり、また、相続人でなければ、相続放棄の申立てはできないからです。

6、相続放棄をすると、自分の子どもが相続することになるのですか?

いいえ。相続放棄をすると、初めから相続人でなかったことになりますので、相続放棄をされた方のお子さまが、代わりに相続人になることはありません。ご安心ください。

7、相続放棄をすると、税金や健康保険料も払わなくて済むのですか?

はい。相続放棄をすると、他の借金と同様、故人の滞納していた税金や、健康保険料の支払い義務もなくなります。

8、相続放棄をすると、お墓の管理はどうしたらよいのでしょうか?

お墓や仏壇、位牌は、相続財産に含まれませんので、相続放棄をしても、引き継ぐことはできます。

9、未成年者や成年被後見人が相続放棄をする場合、3か月以内という制限はどうなるのでしょうか?

この場合は、未成年者のご両親や、成年後見人が、相続開始を知った時から3か月以内であれば、相続放棄の申述が可能となります。

10、相続放棄を撤回することはできますか?

一度、申請した相続放棄を撤回することはできません。たとえ、相続放棄の期限である3か月以内であっても、です。ただし、以下の場合は、取り消しできる場合があります。

1、未成年者がご両親の同意を得ずに、相続放棄をした
2、成年被後見人が成年後見人の同意なく、相続放棄をした
3、だまされて、相続放棄をした
4、強迫されて、相続放棄をした



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