大津の遺言

1、遺言とは

遺言とは、遺言者の最後の意思を伝えるものです。遺産の所有者(遺言者)が、ご自身で、どのようにその遺産を相続してほしいかを、書面に記しておくことで、多くの場合、相続人による遺産争いを防ぐことができます。

遺言は、書面で作成しなければならず、遺言書の作成方法は、民法で、厳格に定められています。ですので、せっかく遺言書を作っても、民法の定めに従っていなければ、無効になってしまいますので、注意が必要です。

また、遺言書に書けば、何でも有効なわけではなく、遺言書に書ける内容も法律で定められています。

2、遺言書を作れる人

15歳以上であれば、遺言書を作ることができます。

ただし、認知症、知的障がい、精神障がいがあると、遺言書を作ることはできません。その方の本心から作成された遺言かどうかが、分からないからです。

65歳以上の4人に1人は、認知症というデータもあります。自分にはまだ早いから、と考えていると、作れなくなってしまう可能性があります。遺言は、何度でも作り直すことができますので、遺言を書こうか迷っている方は、専門家に相談されることをお勧めします。

当事務所では、30代のご夫婦から80代の方まで、幅広い年齢層の方からご依頼を頂いております。

大津市の遺言の作成

※土日祝・時間外も、電話を転送していますので、お気軽にお電話ください。

都合により、電話に出られない場合は、留守番電話になりますので、お名前を吹き込んでください。折り返し、お電話いたします。

3、遺言書の種類

遺言書には、以下の3種類があります。
1、自筆証書
2、公正証書
3、秘密証書

それぞれの遺言の方式について、以下で、詳しくご説明いたします。

4、自筆証書遺言

1、遺言書について
自筆証書遺言は、自分ひとりでも、作ることができます。
ただし、パソコンで作成したものや、音声を録音したもの、ビデオ映像では遺言になりません。便箋に、ボールペンで書いたものでも、大丈夫です。

自筆証書遺言を作る際の、主な決まり事は、以下の4つです。
[check] 全文を直筆で書く
[check] 作成した日付を書く
[check] 氏名を書く
[check] 押印する

2、日付について
平成28年1月1日のような記載が必要です。「平成28年1月」だけや、「1月吉日」のように、日付まで書かれていないものは、無効となってしまいます。

3、押印について
押印は、実印が望ましいです。後日、間違いなく、本人が書いた証明にもなるからです。また、封筒に入れて、封印する場合は、遺言の文面に押印したものと同じ印鑑で封印します。

4、検認について
自筆証書遺言は、相続開始後、家庭裁判所で、遺言書の検認手続きをしなければなりませんので、遺言の執行(遺言内容の実現)ができるまでに、時間と費用がかかります。

5、遺言書の保管について
自筆証書遺言をご自身で作成された場合は、相続開始後に、遺言書を見つけてもらえるように保管しなければなりません。紛失してしまったり、遺言書を見つけてもらえなければ、遺言書を作成した意味が全くなくなってしまうからです。
遺言の作成を専門家に依頼されれば、遺言書の保管についても、相談に乗ってもらえるでしょう。

6、遺言書の訂正について
遺言の要式は、民法に定められており、規定通りに書かなければ無効となってしまいますので注意が必要です。また、遺言の内容を訂正する場合も、訂正方法が決められています。不安な場合は、専門家に相談されることをお勧めします。

7、自筆証書遺言の作成数について
正確な数値は不明ですが、平成26年に全国の家庭裁判所に申立てがされた遺言書の検認件数は、約1万7,000件でした。発見されなかった遺言書もあったものと想定されますから、少なくとも、それ以上の方が作成したと考えられます。

5、公正証書遺言

1、遺言書の作成について
公正証書遺言は、公証役場で作成します。
公正証書遺言の作成には、公証人と2人の証人が関与しますので、後日、遺言の効力(本当に、本人の意思で作られた遺言なのか)が裁判で争われたときに、最も証明力が高い遺言の方式です。

2、日付や押印について
公正証書遺言は、公証役場に出向いて(本人が出歩けない場合は、出張サービスもあります)、遺言書を作成しますので、自動的に、その日付が記入されます。また、押印については、必ず実印で行います。

3、遺言の証人について
公正証書遺言の作成には、証人が必要ですが、当事務所にご依頼頂いた場合は、守秘義務のある司法書士や、当事務所の職員などが証人になりますので、遺言の内容を知られてしまうとのご心配は無用です。

4、遺言書の検認について
公正証書遺言は、家庭裁判所での遺言書の検認が不要ですので、遺言の執行(遺言の内容を実現すること)を迅速に行うことができます。

5、遺言書の保管について
公正証書遺言は、謄本が本人へ交付され、原本が公証役場で保管されますので、紛失したり、遺言書を偽造される心配がありません。

6、公正証書遺言の作成数
遺言書の中で、最も多く作成されているのが、公正証書遺言です。
平成26年には、10万4,490人の方が、公正証書遺言を作成されました。今後も、この数は増えていくと予測されており、遺言を書くことは、決して珍しいことではなくなってきています。

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6、秘密証書遺言

1、遺言書の作成について
秘密証書遺言では、遺言を書いた文書に、署名押印が必要です。
パソコンで打ち込んだ文書に、署名のみ手書きで、押印してもよいです。そして、この文書を封筒に入れ、遺言書に押印したのと同じ印鑑で封印します。

さらに、この封書を、公証役場へ持って行き、公証人と2人の証人に署名押印してもらいます。

2、秘密の意味について
公証役場でも、遺言書を開封しませんので、公証人や証人にも遺言の内容を「秘密」にできます。ですので、秘密証書遺言といいます。

3、秘密証書遺言の作成数
ほとんど作成されていません。この方式を選択するメリットがないため、遺言を作る場合は、自筆証書遺言か、公正証書遺言のどちらかを選べばよいでしょう。

7、自筆証書遺言と公正証書遺言の比較

遺言の種類 自筆証書遺言 公正証書遺言
メリット 費用が不要  
書き直しが容易
紛失の恐れなし 
偽造を疑われにくい
デメリット 紛失の恐れあり  
偽造判別が困難
費用がかかる 
書き直しにも費用要

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8、遺言書に書けること

遺言書に書けることのうち、主なものは、次のとおりです。

1、遺産分割に関すること
たとえば、「自宅の土地・建物は、長男Aに相続させる」や
「○○銀行○○支店の預金は、長女Bに相続させる」のように記述することができます。

2、贈与に関すること
遺言で贈与することを、「遺贈」と言います。相続人以外に、財産を遺したい場合は、遺贈となります。きちんと、相手を特定できるように、住所と氏名を書きます。
「株式会社○○の株式は、大津市○○ C に遺贈する」

3、遺言執行者に関すること
遺言で、遺言執行者を指定することができます。こちらも、特定できるように、住所と氏名を記述します。
「遺言執行者は、大津市○○ D とする」

4、認知に関すること
認知(結婚していない女性との間に生まれた子を、自分の子どもと認めること)は、もちろん生前にすることもできますが、遺言で、することもできます。遺言で、認知をする場合は、必ず遺言執行者が就任しなければなりません。

5、相続人の廃除に関すること
相続人の廃除とは、相続人から外す手続きです。遺言者に対し、生前、虐待等を行っていた相続人を、遺言者の意思で、相続人から外すことができます。ただし、裁判所に申し立てをして、許可される必要があります。また、廃除が認められると、戸籍にその旨が記載されます。
認知と同様、遺言で、廃除の手続きをする際は、遺言執行者の就任が必要です。

6、一般財団法人の設立に関すること
ご自身の財産を寄附し、それを財源として、一般財団法人を設立することができます。

7、生命保険の保険金受取人に関すること
遺言で、ご自身が契約されていた生命保険の保険金の受取人を変更することができます。

8、未成年後見人に関すること
お子さんが、未成年で、他に親権者がいない場合、遺言で、未成年後見人や、未成年後見監督人を指定することができます。

9、特別受益に関すること
遺産分配の元になる相続財産は、死亡時に存在する遺産だけでなく、生前に相続人が贈与された一定の財産も、相続財産に含めるものとされています。この生前に、贈与された財産を「特別受益」と言います。

この特別受益として得た財産を、相続財産に戻すことを「特別受益の持ち戻し」と言います。そして、遺言者は、特別受益の持ち戻しを免除する(戻さなくてよいこととする)ことを、遺言に書くことができます。

10、祭祀を主宰すべき者の指定に関すること
遺言で、お墓を継ぐ者を指定することもできます。

11、付言事項
家族への感謝の気持ちや、最期のメッセージなどを記述することもできます。

9、遺言書を作った方がよいケース

次に当てはまる方は、特に、遺言を書いておいた方がよいと言えます。
遺言で、誰が、どの遺産を相続するかを決めておくことにより、遺産を巡る相続人同士の争いを、未然に防ぐことができるのです。

1、お子さんがいないご夫婦
お子さんがいない場合は、配偶者とご両親、またはご兄弟が相続人となります。

遺言がない場合は、相続人全員で、遺産分割協議をしなければなりません。配偶者にとって、親族とはいえ、遺産分割協議をしなければならないことは、心理的に、かなり負担になります。また、預貯金があまりなく、ご自宅しか資産がない場合、最悪の場合、ご自宅を売却しなければならないというケースもあり得ます。どういうことかといいますと、たとえば、ご自宅の価値が2,800万円の場合、配偶者の相続分は2,100万円、ご兄弟の相続分は700万円となります。もし、この700万円が現金で用意できなければ、ご自宅を売却して、現金を用意しなくてはならないのです。

そこで、上記のような事態になることを避けるために、遺言を書き、「配偶者に、すべての遺産を相続させる」としておけば、配偶者を守ることができるのです。

2、再婚し、前妻(夫)との間にお子さんがいる

離婚をしても、前妻との間のお子さんは、相続人となります。(前妻は、相続人とはなりません。)遺産分割協議は、相続人全員でしなければなりませんから、通常は、配偶者とお子さん、さらに、前妻の子の三者で、話し合うことになります。円滑に話し合いが進めばよいですが、そうでない場合には、裁判所での、遺産分割調停にまで、もつれ込むことになります。

そのような事態を避けるために、遺言は有効です。このケースでは、遺留分も考慮した遺言を作成する必要があります。

3、事実婚のご夫婦
事実婚の場合、相手に相続権はありません。
遺産を遺したい場合は、必ず遺言を書かなければなりません。

4、相続人の中に、精神障がいがある方がいる
相続人に、精神障がいや知的障がいがある場合、認知症になってしまった場合、その方は、遺産分割協議には参加できません。家庭裁判所に、成年後見の申立てをし、成年後見人が、本人に代わって、遺産分割協議に参加することになります。

さらに、もし、成年後見人が、身内である場合、遺産分割協議のために、特別代理人を選任しなければならないケースもあります。たとえば、配偶者が認知症となり、子どもが成年後見人となっている場合、配偶者と子どもは、相続人として、利益相反の立場になりますので、遺産分割協議をするためには、配偶者のために、特別代理人を選任する必要があるのです。

成年後見の申立ても、特別代理人の選任にも、費用がかかります。
遺言を書き、遺言執行者を指定しておくことにより、余計な費用をかけずに、スムーズに相続手続きを進めることができます。

5、相続トラブルが心配だ
相続人が2人以上いる場合、遺言書がなければ、相続人全員で、遺産分割協議をする必要があります。相続人の仲が良くない場合や、話し合いで決めることが困難だと予想される場合は、遺言書を作った方がよいと言えます。

たとえば、前妻(前夫)との間にも子がいたり、婚外子(非嫡出子)がいる場合は、その方々も含めて遺産分割協議をするのは、困難だと思われますので、遺言書作成の必要性が高いといえます。子供がいない夫婦で、兄弟姉妹が相続人になるときも同様です。

また、お子さん同士の仲があまり良くない場合も、遺産を巡って、争いが起きることは、珍しくありません。

特に、遺産が、自宅だけという場合は、法定相続分どおりに財産を分けるのが難しいため、多額の財産があるときよりも、かえって遺産分割協議がまとまらないことが多いのです。

そこで、相続人による遺産分割協議がうまくいかない心配が少しでもあるならば、円満な遺産相続を実現するために、遺言書を作成しておくべきだといえます。

6、相続人が誰もいない
相続人が誰もいない場合、遺産は、国に没収されることになります。
遺産は、相続人がいなくても、自由に処分することができますので、遺言に書くことにより、寄附したり、お世話になった人に、贈与することもできます。

7、特定の相続人に、特定の財産を継がせたい
たとえば、代々引き継いでいる自宅不動産は、必ず長男に相続させたい場合などは、遺言が有効です。

8、相続人以外の方に、財産をあげたい
内縁の妻や、子の配偶者など、法定相続人以外に財産を遺したい場合も、遺言書の作成が必要です。

以上、遺言を書いた方がよいケースを取り上げました。

最近では、新聞やテレビなどでも、「エンディングノート」や、「終活」といった遺言に関係する言葉をよく聞くようになりました。

それでも、

「まだ、遺言のことなんて考えられない」

「遺言は、たくさん財産がある人が書くもの」

という方が多いようです。

ですが、遺言を書くのに早すぎることはありません。実際に、30代のうちから、遺言を書き始める方もおられます。少し大げさな言い方になるかもしれませんが、遺言を作ることは、ご自身の人生を見つめなすきっかけとなり、今後の人生をより充実したものとするために、大変有意義な作業、と言えると思います。

また、ほとんど財産は持っていない、という方でも、遺言を書いておくことをお勧めしています。なぜなら、主な遺産が、自宅不動産だけという場合は、法定相続分どおりに財産を分けるのが難しいため、多額の財産があるときよりも、かえって遺産分割協議が難航することがあるからです。

遺言は、何度でも作り直すことができます。最新のものが、有効になるようにできています。ですので、遺言は、亡くなる直前に書けばよい、というものではなく、早くから準備をして、定期的に見直しをし、現状に即したものに、随時変更していけばよいのです。

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10、遺言のことは、誰に、相談すればいい?

遺言作成のご依頼先としては、公証役場と、司法書士があります。
自筆証書遺言を作成したいときは、ご自身で作成するか、不安がある場合は、司法書士に相談することをお勧めします。

では、公正証書遺言を作りたい場合は、いきなり、公証役場に相談すればよいのでしょうか?

遺言で実現したいことを、きちんと把握していて、公証人にその内容を説明できるのであれば、公証役場に相談すれば問題ないでしょう。公証役場も、法律のプロですから、法律の規定通りの遺言を作ってくれることは間違いないです。

しかし、公証役場は、ご相談内容を元に、より良い方法を提案してくれるということはありません。ご相談者の方の依頼内容をそのまま、遺言にするだけです。

一方、司法書士に相談されれば、税理士とも連携し、相続税対策まで含めた総合的な視点で、遺言内容を検討し、より良い内容の遺言を作成することができます

遺言は、想いを実現するための大切なものですから、安いから、という理由だけで選ばず、依頼先の実績など力量を見極めて、ご相談されることをお勧めします。

11、遺言書の作成に必要な書類

・遺言をされる方の出生~現在までのすべての戸籍謄本

・遺言をされる方の印鑑証明書

・遺言をされる方の公的本人確認書類(運転免許証など)

・遺贈を受ける方の住民票(遺贈がある場合のみ)

・不動産の登記事項証明書(遺言に不動産のことを書く場合のみ)

・不動産の固定資産評価額証明書(遺言に不動産のことを書く場合のみ)

上記の書類は、ご相談時には不要です。また、戸籍などは、当事務所で集めることもできますので、まずは、お気軽にご相談ください。

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12、遺言に関する、よくあるご質問

以下のご質問にお答えしています。     → よくあるご質問を見る

1、どうして、遺言を書いておく方が、よいのですか?
2、遺言は、誰でも、作れるのですか?
3、特に、遺言を書いておいた方がよいのは、どんな人ですか?
4、遺言には、どのようなことを書けるのですか?
5、夫婦で、遺言をしたいのですが、1通でよいですか?
6、入院していますが、遺言書を作ることはできますか?
7、遺言書を作り直すことはできますか?
8、年月のみで、日付が書いていない遺言は、有効ですか?
9、遺言の「証人」になれない人はいますか?
10、身内が亡くなり、遺言書が見つかったのですが、どうしたらよいですか?
11、父が、公正証書遺言を作成したようなのですが、中身を確認することはできますか?
12、遺言に関する相続欠格とは何ですか?

13、遺言書の検認(けんにん)とは?

→ 遺言書の検認手続きを見る

14、遺言執行者の選任とは?

→ 遺言執行者の選任手続きを見る

15、公正証書遺言の作成費用について

手続き内容 報酬(税別) 実 費
公正証書遺言文案作成
公証人との打ち合わせ
戸籍収集
50,000 1.戸籍謄本・除籍謄本等:1通450円 or 750円
2.郵送料:本籍地の数×360円
証人立会 1人
10,000
なし

※別途、公証人に支払う手数料が必要です。

16、無料相談のご案内

司法書士 大津法務コンサルティングは、遺言書の作成・遺言書の検認遺言執行者の選任など、遺言の専門家として、業務を行っております。必要書類や費用のこと、手続きに要する時間など、気になることは、お気軽にお問い合わせください。相談無料です。

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