こんにちは
滋賀県大津市の司法書士・宅地建物取引士の横田聡です
遺言書を偽造したり、破棄したりすれば
当然
相続欠格(相続人から除外される)になりますが
「遺言書の隠匿」とは
どの範囲までのことを言うのか
判例を調べてみました
民法
(相続人の欠格事由)
第八百九十一条 次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
判決年月日 昭和61年1月14日 裁判所(法廷) 大阪高等裁判所 事件名 土地建物所有権移転登記抹消登記手続請求控訴事件 事件番号 昭和60年(ネ)第1019号 (要旨)
おもうに、民法891条5号にいう相続欠格事由としての遺言書の隠匿とは、故意に遺言書の発見を妨げるような状態におくことを意味し、また、遺言書の意思に反する違法な利得をはかろうとする者に制裁を課することによって遺言者の最終意思を実現させようとする同条の趣旨に照らすと、右隠匿については、隠匿者において遺言の隠匿により相続法上有利となり又は不利になることを妨げる意思に出たことを要すると解するのが相当である
少し古い判例ですが
担当裁判官が定義しています
遺言書の隠匿とは
1 故意に遺言書の発見を妨げるような状態におくこと
を意味し
2 相続法上有利となり 又は 不利になることを妨げる「意思」に出たことを要す
そして
遺言書の隠匿を相続欠格事由に定めているのは
遺言者の最終意思を実現させ
るためであり
遺言書の意思に「反する」違法な利得をはかろうとする者に制裁を課す
のが同条の趣旨とされています
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